原文: packages_doc_0.4.pdf, packages_doc_0.4_en.pdf

version 0.4, 2017-05-04

  • Anton Bobrov, Wargaming.net
  • Mikhail Paulyshka, XVM team
  • Andrey Andruschyshyn, Independent
  • Koreanrandom.com community

ライセンス: CC BY-SA 4.0

1. 一般情報

パッケージ形式とは、mod ファイルを整理する方法です。 この形式により特定の mod が1つのファイルにまとめられます。

古い配布形式では、 mod はフォルダ <WoT_game_folder>/res_mods/<WoT_version>/ にインストールされます。 この形式だと異なる mod のファイルが同じフォルダにあるので、特定の mod ファイルを見つけるのが難しくなります。

パッケージ形式では、mod ファイルの配置がずっと単純になります。 mod をインストールするには、フォルダ <WoT_game_folder>/mods/<WoT_version>/ にパッケージをコピーするだけですみます。 また、mod をアンインストールするには、同じファイルを削除します。

2. パッケージの構成

パッケージは以下の仕様の zip ファイルです。

  • 非圧縮
  • 拡張子: .wotmod
  • 最大アーカイブサイズ: 2G - 1 バイト (2,147,483,647 バイト)

注: 圧縮されたアーカイブは、現在のバージョンの World of Tanks ではサポートされていません。 したがって、アーカイブを作成する際に圧縮レベルを「圧縮なし」に設定してください。

注: 2G以上のアーカイブは現在の World of Tanks ではサポートされていません。 大きなサイズのファイルは小さなサイズに分割し、各ファイルサイズが 2 G - 1 バイトを超えないようにする必要があります。

パッケージには以下の内容が含まれます:

  • 必須: フォルダ /res/。mod の中身がこのフォルダに置かれます。 フォルダ <WoT_game_folder>/res_mods/<WoT_version> にインストールされるファイルが該当します。
  • 省略可: ファイル meta.xml (5節 を参照)
  • 省略可: ファイル LICENSE。ライセンス条件です。
  • 省略可: mod 開発者が必要と判断したその他のファイル。webページへのリンクや説明書、変更記録など。

パッケージの構成例:

/package.wotmod
    /meta.xml
    /README.md
    /LICENSE
    /res
        /scripts
            /client
                /gui
                    /mods
                        /mod_example.pyc

3. パッケージのインストール

パッケージはフォルダ <WoT_game_folder>/mods/<WoT_version> にインストールされます。 手動でコピーするか、もしくは mod または mod パックのインストーラによりインストールすることが可能です。

必要に応じて、パッケージをサブフォルダに分割することができます。 これにより、開発者はグループ別にファイルを整理できます:

mods/
    0.9.17.1/
        MultiHitLog_2.8.wotmod
        DamagePanel/
            Some_common_library_3.14.5.wotmod
            DamagePanel_2.6.wotmod
            DamagePanel_2.8.wotmod
            DamagePanel_2.8_patch1.wotmod

4. パッケージの命名に関する推奨事項

パッケージの名称 (以下 package_id) は次の形式が推奨されます:

package_id = author_id.mod_id

ここで:

  • author_id: 開発者の識別子。開発者のwebサイト (com.example) や開発者のニックネーム (noname) が可能です。
  • mod_id: modの識別子。開発者が任意に選択します。

この名称は meta.xml ファイル (5節 参照) の内部や、パッケージのファイル名の一部として使用されます。

パッケージ名称の例:

com.example.coolmod
noname.supermod

ファイル名は以下のような形式となります:

<author_id>.<mod_id>_<mod_version>.wotmod

ここで:

  • mod_version: mod のバージョン。meta.xml 内で開発者によって設定される (5節 参照)。

例:

com.example.coolmod_0.1.wotmod
noname.supermod_0.2.8.wotmod

5. メタデータファイル meta.xml

省略可のファイル meta.xml には mod に関する情報が特定のフィールドとして含まれます。

例:

<root>
    <!‐‐ Techical MOD ID ‐‐>
    <id>noname.crosshair</id>

    <!‐‐ Package version ‐‐>
    <version>0.2.8</version>

    <!‐‐ Human readable name ‐‐>
    <name>Crosshair</name>

    <!‐‐ Human readable description ‐‐>
    <description>New cool Crosshair with feature1.....N</description>
</root>

フィールド <id> および <version> の値はパッケージを組み込む順序を決定するために使用されます。 フィールド <name> および <description> の値は、将来的に mod 管理システムで使用されることになります。

6. パッケージの読み込み

6.1 読み込み順序

フォルダ <WoT_game_folder>/mods/<WoT_version>/ にあるすべてのパッケージは、 ファイル meta.xml で指定されたノード <id><version> の値によってソートされ、この順序に従ってロードされます。 ファイル meta.xml がない場合はパッケージIDとしてファイル名が使用されます。

ファイル load_order.xml は、読み込み順序を変更するために使用できます。 前述のフォルダに配置する必要があります。

すべてのパッケージがファイル load_order.xml で指定されている場合、それらはファイル内で設定された順序に従って読み込まれます。

いくつかのパッケージがファイル load_order.xml で指定されていない場合、 load_order.xml で指定されたパッケージが最初に読み込まれます。 残りのパッケージはアルファベット順に読み込まれます。

注: 現在のところ、ファイル load_orders.xml の利用はかなり難しいものとなります (9.4節 参照)。

6.2 フォルダ res_mods とパッケージの併用

ゲームクライアント側から見た場合、仮想システムルートは次のように構成されています:

  • /res_mods/<WoT_version>
  • /mods/<WoT_version>/<package_name>.wotmod/res/
  • /res/packages/*.pkg/
  • /res/
  • ファイル <WoT_game_folder>/paths.xml で指定されたその他の場所

これらのパスは、優先度の高い順にリストされます。 つまり、フォルダ /res_mods/<WoT_version>/ にあるファイルは、ファイル load_order.xml に関係なく、より高い優先度を持ちます。

6.3 読み込み時に発生する競合の解決

通常、パッケージシステムは、異なるパッケージのフォルダ res/ に同名のファイルが存在する状況を許可していません。 このような状況は競合とみなされます。

競合が検出された場合、競合するパッケージは完全に処理から除外されます。 そのようにして、対応する通知がユーザに表示されます。

例えば、a.wotmodb.wotmod の両方のパッケージにファイル res/scripts/entities.xml が含まれている場合、 a.wotmod パッケージは正常に読み込まれますが、 b.wotmod は競合を引き起こし、読み込まれません。

競合の制御は次のように行われます:

1. ファイル load_order.xml

ファイル load_order.xml はフォルダ <WoT_game_folder>/mods/<WoT_version>/ に置かれなければなりません。 以下のような形式になります:

<root>
    <Collection>
        <pkg>package_name_1.wotmod</pkg>
        <pkg>package_name_2.wotmod</pkg>
        <!‐‐ ... ‐‐>
        <pkg>package_name_N.wotmod</pkg>
    </Collection>
</root>

このファイルに列挙されたパッケージは競合とみなされず、ファイル名の衝突解析をせずに読み込まれます。 優先順位は最後に指定されたパッケージからになります。

2. meta.xml のノード <id><version> の値

同一の <id> を持つパッケージは、1つの mod の異なるバージョンまたは一部と見なされます。 これらの要素間の競合は考慮されません。これらのパッケージはバージョン番号の増加順にダウンロードされます。

ファイルのバージョンは ASCII コード表に従って文字単位で比較されます。 この挙動は strcmp() と同じです:

  • バージョン 9.0.0 はバージョン 10.0.0 を置き換えます
  • バージョン b はバージョン B を置き換えます
  • バージョン c<任意の文字列> はバージョン c を置き換えます
  • バージョンが一致する場合は、アルファベット順で最初に来る名前のパッケージが優先されます

異なるパッケージに同名のファイルが含まれていて、それらの競合が load_order.xml または meta.xml ファイルで解決された場合、 最近追加されたパッケージか <version> の値が大きいパッケージに含まれるファイルの方が優先度が高くなります。

6.4 Python コードの実行

すべてのパッケージを追加して競合を解決した後、フォルダ /scripts/client/gui/mods/ 内の ファイル名の先頭が mod_ であるすべての .pyc ファイルがアルファベット順に実行されます。

パッケージ内では、このファイルは次の場所にあります:

<author_id>.<mod_id>_<version>.wotmod/res/scripts/client/gui/mods/mod_<anything>.pyc

7. mod ファイルの推奨パス

7.1 設定ファイル

mod の設定ファイルは次の場所が推奨されます:

<WoT_game_foler>/mods/configs/<author_id>.<mod_id>/

ここで:

  • author_idmod_id - 本文書の 4節 で説明した識別子

7.2 ログファイル

標準ファイルの python.log とは別に、以下のパスの仕様が推奨されます:

<WoT_game_folder>/mods/logs/<author_id>.<mod_id>/

ここで:

  • author_idmod_id - 本文書の 4節 で説明した識別子

7.3 一時ファイル

一時ファイルの置き場は以下が推奨されます:

<temp>/world_of_tanks/<author_id>.<mod_id>/

ここで:

  • temp - OS の現在のユーザに対応する一時ファイル用フォルダのパス
  • author_idmod_id - 本文書の 4節 で説明した識別子

7.4 その他の mod ファイル

ゲームクライアントでアクセス可能なコンテンツを格納するには、次のパスを使用します:

<package_name>.wotmod/res/mods/<author_id>.<mod_id>/

ここで:

  • author_idmod_id - 本文書の 4節 で説明した識別子

8. パッケージ内のファイルの操作

パッケージ内のファイルを操作するにはモジュール ResMgr を使います。

8.1 標準的な操作

8.1.1 パッケージからのファイルの読み込み

#import
import ResMgr

#function
def read_file(vfs_path, read_as_binary=True):
    vfs_file = ResMgr.openSection(vfs_path)
    if vfs_file is not None and ResMgr.isFile(vfs_path):
        if read_as_binary:
            return str(vfs_file.asBinary)
        else:
            return str(vfs_file.asString)
    return None

#example
myscript = read_file('scripts/client/gui/mods/mod_mycoolmod.pyc')

8.1.2 フォルダ内の要素のリストを取得

#import
import ResMgr

#function
def list_directory(vfs_directory):
    result = []
    folder = ResMgr.openSection(vfs_directory)

    if folder is not None and ResMgr.isDir(vfs_directory):
        for name in folder.keys():
            if name not in result:
                result.append(name)

    return sorted(result)

#example
content = list_directory('scripts/client/gui/mods/')

8.1.3 パッケージからフォルダへのファイルのコピー

#import
import os
import ResMgr

#function
def file_copy(vfs_from, realfs_to)
    realfs_directory = os.path.dirname(realfs_to)
    if not os.path.exists(realfs_directory):
        os.makedirs(realfs_directory)

    vfs_data = file_read(vfs_from) #view 8.1.1
    if vfs_data:
        with open(realfs_to, 'wb') as realfs_file:
            realfs_file.write(vfs_data)

#example
file_copy('scripts/client/gui/mods/mod_my.pyc','res_mods/0.9.17.1/scripts/client/gui/mods/mod_my.pyc')

9. 既知の問題点

9.1 大文字と小文字が区別されるファイル名

問題の説明

現在、仮想ファイルシステムにファイルを追加する場合:

  • パッケージからのファイルは小文字で追加されます
  • フォルダ <WoT_game_folder>/res_mods/ のファイルはそのまま追加されます

その結果、ファイルがパッケージと res_modsフォルダの両方にあり、ファイル名に少なくとも1つの大文字が含まれていると、 ファイルが2回読み込まれることがあります。

一時的な解決策

<WoT_game_folder>/res_mods フォルダのファイルとフォルダの名前には小文字のみを使用してください。

9.2 GNU Gettext ファイルの操作

問題の説明

現在、 <WoT_game_folder>/res/text/LC_MESSAGES/ フォルダにある .mo ファイルの代わりに .mo ファイルをパッケージに割り当てることはできません。

一時的な解決策

一時的な解決策としてnet.openwg.vfsgettextを使用します: http://openwg.net/download/vfsgettext/net.openwg.vfsgettext_1.0.0.wotmod

9.3 .py ファイルの実行

問題の説明

現在、パッケージにある .py ファイルは実行できません。

一時的な解決策

コンパイルされたバイトコード .pyc ファイルを .py ファイルに加えてパッケージに追加します。

9.4 パッケージの読み込み順序の変更

問題の説明

現在、ファイル load_order.xml を使用してパッケージの読み込み順序を変更することはできません。

一時的な解決策

この問題に対する一時的な解決策はありません。 問題はまもなく解決される予定です。

付録 A. 変更リスト

V 0.4 (2017-05-04)

  • ファイル load_order.xml によるパッケージ間の競合解決の説明

v 0.3 (2017-05-03)

  • ファイル形式 .wotmod の制限に関する情報を追加
  • IDが同じパッケージでの競合解決アルゴリズムの説明を追加

v 0.2 (2017-04-10)

  • 構成の変更: 新規レイアウト、記事の分離
  • パッケージの命名方法に関する説明を改訂
  • パッケージの読み込み順序に関する説明を改訂
  • ログと設定ファイルの置き場に関する推奨事項を追加
  • パッケージ内のファイルを操作するソースコードの例を追加
  • 現在知られている問題の説明を追加

v 0.1 (2017-01-13)

  • 最初のバージョン